テストステ論

京大卒の高テス協会会長がテストステロンに関する情報をお届けします

退職エントリの解説文

先日書いた退職エントリが、退職エントリとしては史上最高の反響を得たのではないかと思っています。

数値的な実績としては、このブログへのアクセス数が、この4日で10万。ピークは12/22に53000です。他には、ご存知の方も多いかと思いますが、はてブのホットエントリで断トツの一位となりました。最終的には、820users(?)という記録まで行きました。一番最初にホットエントリ一位に気づいた時が250くらいで、ここらへんをとると通常は一位になるようですから、820というのは完全に異常です。それだけ反響があったということです。

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私、このエントリを決して日立製作所を貶める目的で書いたわけではありません。むしろ、素晴らしい会社だと思っていて、だからこそ、優秀な技術者が気持ち良く働けない原因を改善し、自浄することで、もう一度復活して欲しいという思いから書きました。エントリを読んだ人から、「分かりやすい」「刺激になる」という言葉を頂きました。転職エントリというのは一発勝負です。また、転職エントリというのは直接的には誰も幸せにするものではありません。ですから、魂をこめて書きました。その結果です。文章の書き方については、会社に入ってから訓練されました。日立には色々な人がいるので、みんなに分かりやすく文章を書くことが求められます。この点も、日立の素晴らしさのアピールポイントとして付け加えたいと思います。

システム開発研究所というのは、もともとは非常に技術力の高い研究所でした。ストレージでは一時代を築き上げましたし、今でも世界レベルで戦っています。ストレージというコア分野で世界で戦うということがどれだけ難しいことなのかは、想像に難くないはずです。だからこそ、そこにある閉塞感など問題を取り除くことが出来れば、また返り咲けるポテンシャルはあると思います。非常に優秀な技術者がいます。エントリを書いたのはその目的でした。

しかし中には不愉快な思いもされた方もいらっしゃるようです。そういう方々には申し訳なかったと思いますが、全員に耳障りの良い文章などというのは何の情報量もなく、意味がないのです。

優秀な技術者は日立を出ろとエントリでは言いました。しかし、もちろんのこと、残っている人が無能だということではありません。日立では、優秀な人が頑張っていますし、私の周りにもいます。そういう人は、日立をなんとかして良くしようと努力しています。だけど、私の感覚でいうと、無理だと思います。そのためには相当なショックが必要。それこそ、私に続いて転職者が続出した結果、幹部が本気で考えるとか、そういう事態になってやっと「本当に何とかしないといけないんだな」ということに全体が気付き、全員が改善の方向に向かっていくことになるのです。みんなが一枚岩になれば、社風の改善など簡単ではないでしょうか?それはそもそも、日立の強さです。これは私の日立に対する最後の貢献だと思っています。

どの会社でも同じだと思いますが、ある人にとって辛くても、他の人にとっては別にそうでもなかったりあるいはむしろ楽しかったりということがあり得ます。例えば、私は、技術でつっぱった会社で仕事をしたいと思いますが、そういう会社は辛くて嫌だという人もいるでしょう。同じことです。私が辞めるのは、私が優秀であり社会が求めていると感じてるからではなく、ただ単に、日立では自分の理想とするキャリアプランが作れないと思うからです。そしてもちろん、私の思う最善のキャリアプラン以外がすべて無価値だなんてことはあり得ないのです。言いたかったのは、キャリアプランというのを明確に意識し、外の世界も見ることが、日立にいるにしろ外に出て行くにしろ、重要だということです。これが、「外を見ろ」の意味です。思考停止は良くないことです。思考することが仕事である研究所などでは言うまでもありません。

今日、中国人の同期が私のところにやってきて、30分ほど会話をしました。彼は私が自ら決断し会社を去るということにポジティブな印象を持っていました。しかし疑問も抱いたようです。「なぜ起業しないのか」。中国にある仕事の良し悪しを決める判断基準は「好きか嫌いか」ではなく、「使うか使われるか」だと聞きました。そのため、中国人は起業精神が旺盛のようです。2020年のオリンピックに向けて景気が良くなっているときであり、起業するのであれば今でしょ!なぜまた使われようとするのだ?ということでした。起業というのも、ぼんやりと頭の中にはあります。しかし、技術者として中途の世界に殴りこんでいくというのは、自分というプロダクトの価値を認識し、それを武器にして売り込むという点では同じです。また当然ながらOSSというのは、コードを書いてそれをアピールしてがとても重要な活動となります。私が本当に提言したいのはここです。「自分の価値を分析せよ。あなたの専門性はなんですか?あなたが中途市場で勝てる根拠はなんですか?」。日本は、新卒就活の時には自己分析をがんばるのですが、大学と同じで、入ってからは努力しなくなる傾向があるのではないでしょうか?

最後に、私は、自分たちの世代は幸せだと思います。一般論でいうと、日本は高齢化が進み、税金も我々が多く負担することになりますし、年金だって貰えるかどうか分からないので、下の世代ほど辛いということが言えますが、キャリアプランを意識することが必須になってきたという意味では良かったと思います。また、技術者のフィールドは世界です。私は良いオポと思えば、アメリカ・ヨーロッパ、どこでも飛んで挑戦するつもりです。最初からグローバルの荒波にもまれ、大企業だっていつ倒産するか分からないような時代に社会人を始められたから、このままで良いのだろうかと悩むことが出来たのだと思います。きっと、20年前30年前に生まれていたら、こんなことは考えなかったかも知れません。

それはIT業界にほぼほぼ限定された話じゃないか、他の業界のことも考えろよという人がいるかも知れません。いいえ、それは甘えです。私の出身は電子電子工学専攻です。私は、入った当時は電気技術者になるつもりだったのですが、色々と聞くうちに電気電子業界は危ないのではないかという危機感を持ち始めました。そして、情報系に転身しました。ITの方が、会社を辞めたいと思っても比較的転職が簡単であると思いましたし、初期投資が少ないので起業するという選択肢も残せるという読みでした。自分の性格は分かっていますから、自分が一つの会社にばっちり適合出来るとは到底思っていませんでした。勉学はものすごく大変になったのですが、今思うと読みが当たったのだと思います。これは運ではなく、自分の技術者人生というものに対して能動的に思考し決断したことに得られる当たり前の結果なのだと思います。ですが、大学の頃からここまで読める人間というのはあまりいないかも知れません。だけどまだ遅くない。Namazu開発者の高林哲さんは"Better late than never"という言葉が好きのようです。私も好きです。今からでも遅くない。怖いかも知れないけど、自分のキャリアについて真に思考して、どのような形であり行動に反映していくことがこれからの時代を戦っていくためには必要なのだと思います。

以上。あまりの反響があったのと、文章の質が十分でなく誤解を招いてる部分もあったので、転職エントリとしては異例と思いますが、解説文を書きました。