【25年目の麻布中学合格体験記】記憶はシャーペンに宿る

中学受験生にとって、シャーペンは自分にとって相棒のようなものだ。受験会場では、自分の頭脳とシャーペンしか信じられる仲間はいない。それ以外はすべて敵だ。

グリップ、書きやすさ、耐久性、芯が折れにくいこと

これらすべてが自分にとってベストなシャーペンを持ち込むことが望ましい。

これはギャグだと思う人がいるかも知れない。しかし、中学受験の試験はとにかく時間が短いし、解く問題が多い。算数でいうと試験時間は大抵60分くらいで、大学受験だと2時間とか3時間だから、だいぶ短期戦となる。だから、じっくり腕を組んで考える暇はなく、常に頭を高速回転させて図を書いたり計算したりしないといけない。その中で、本能的に道筋を見つけていくのが中学受験の算数だ。シャーペンがフィットしていないと、それだけでだいぶ不利になる。

さらに私は、自分がもし突然記憶を失ってしまったとしても、「ペンが覚えている」と信じていた。何を言ってるかはわからないと思うが、自分の記憶力を、相棒が補完してくれると信じていた。そして、シャーペンを変えると記憶がリセットされてしまうと信じていた。これはのちに思い込みだと判明した。

だから、受験本番に向けてベストな相棒をずいぶんと探した。受験会場には精鋭の2本だけを持っていった。

今も昔も、自分の道具には凝り性である。(これはゲーム用マウスの山)

文具屋やコンビニに置いてあるシャーペンはすべて買った。シャーペンには、自分のグリップをつけていたりもした。例えばこんなのだ。グリップも数種類試した。グリップに関しては、使ってる子も多かったと思う。ただ、私のようにシャーペンにこだわる子はいなかった。グリップというのはこんなやつだ。鉛筆の持ち方を矯正する文脈で現れることが多いが、グリップを太くすると疲れにくくする効果がある。

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今も使ってる人は多いと思うが、当時はドクターグリップというシャーペンが出たばかりで、これが腕が疲れにくくて書きやすくて良いという話で、使ってる人は多かったが、私はグリップが汚れると滑りやすくなるのが嫌だった。また、多少重いのも欠点と思った。もっと軽く、グリップが安定していて、字が書きやすいシャーペンを求めた。

四谷大塚のC会員に合格した時、東急ハンズかどこかで2000円くらいの高級なシャーペンを買ってもらった。当初はこれを使っていたが、書きやすさに特化しているものではないため、やがて解雇された。ペンに関しては、高いものが良いはあまり成り立たない。私は今ボールペンを使っていて、Lamyのボールペンも持っているのだが、使っているのは200円のジェットストリームというボールペンだ。

学校や塾の子が使ってるシャーペンを見て、これは良さそうと思うものは買ってみた。日能研のやつが使っている80円くらいの安物のシャーペンが良いと思うこともあったが、これは筆圧が強くなりやすく、芯が折れやすかったため、本番には持っていかなかった。第三位だった。

結局、最強だったのは、ディンプルというシャーペンだった。今では廃盤となっており、アンティーク文具と呼ばれているようだ。どうやら製図用のシャープペンらしく、どうりで書きやすいわけだ。ペン先とグリップの位置も遠く、こういうペンの方が字が丸く大きくなりやすい。

二組のやつが使っていて、そいつの字が良いように感じたので真似してみたのだが、これが最高だった。第二位は、100円か200円くらいの軽めのシャーペンだったと思う。これは商品名は忘れてしまった。

麻布の本番では、ディンプルから使い始めた。しかしなんとなく気持ちが入らなかったため、第二位のシャーペンに変えてみた。そしたら気持ちが入った。シャーペンを2本持っていくというのは、気分転換にもなるので良い作戦だと思う。しかし適当ではなく、とことんこだわってほしい。不安になった時、信じられる仲間が近くにいたら心強い。シャーペンくらいは、いくらでも買ってあげてほしい。

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