AtCoderはABC148で起きた悲劇を繰り返さないためにテスターを雇うべきだ

競プロポエムである。

12月22日開催のABC148はひどいものだった。 問題が悪く、参加者からは不満の声が上がったが、 それにツイッター上で反応した AtCoder社長高橋氏の対応がことさらひどかった。

私は、以前にも

AtCoder社の提供するプログラミング検定PASTは単なる情弱ホイホイである

で、AtCoderの競技プログラミング力検定試験PAST がただの情弱ホイホイでしかない銭ゲバだという話をしたが、 今回さらに、その思いを強めた。

ABC148で起こった悲劇

ABC148では、過去のコンテストと 難易度の一貫性がまるでないということが起こった。

このコンテストでは、AからDまで解けた人のうち もっとも解答時間が遅かった人には300程度のパフォーマンスがついた。 Dがここまで簡単なコンテストというのは、過去に記憶がない。

例えば、この前回のコンテストではDまでしか解けなくても 1500程度のパフォーマンスがついている。 しかも、Cの時点でそれなりに解けない人で出てきて Dで大半がふるい落とされた。 Eが難しめで、解けると2000に届いていた。

一方でABC148では、 続くEも通常であればDか、場合によってはCに相当する難易度だった。

このように、コンテストごとに、難易度が全く一貫していない。

今回さらに問題だったのは、Fが解けた人が800人もいたことだ。 このようなことは通常起こらない。

当然、参加者からは、AtCoderはレベル設定を変更したのか? 今後ABCはどうなるのか?という疑問がわきあがり、 中には高橋氏に直接質問を投げかけるものも現れた。

高橋氏の対応はこの状況を「理想的」だと言い切った

高橋氏はこの時点で、 いつもとは正答数がまるで違うということは気づいていたということが重要である。

それにも関わらず、 これが「理想に近い」などと言ったのだ。

難易度推定をミスることは過ちではない。 これは起こりうることであるし、それが本質であるから私は繰り返しになるが、 「競技プログラミングは検定には向かない」といっているのだが、

この状況を仮にも「理想に近い」と言ってしまうのであれば、 もはやAtCoderのレーティングは意味をなさなくなるし、 AtCoderのABCを拡張したようなレベルであるPASTはなおのこと意味をなさなくなる。

そしてさらに悪いのは、 収拾がつかなくなるとみるや、 「酔っ払っていた」の一言で片付けようとした。 これはいわずもがな、最低の行為である。

もちろん、人格と競技プログラミングコンテストの主催者としての能力は別問題である。 しかし、こういうことを言われるのであれば参加者としてはたまったものではない。

参加者はトータルで5000人いて、AtCoderのために日曜の午後9時から2時間を割き、 人によってはこの週1回しかないコンテストのために修練を積み臨んでいるのに、 難易度設定がミスっていたことを理想的と言い切り、勘違いに気づくとそれを酒のせいにされてしまったら、 今後AtCoderのことを信用するのは難しくなる。

参加者も酒を飲んでから問題を解けば良いだろうか?

AtCoder社はPASTを即刻やめるべきだ

こういう状況において検定事業をはじめたのは あまりに見切り発車だったと言わざるをえない。 私は、AtCoder社はすぐさまPASTをやめるべきだと考える。 社会に対してあまりに背信的であり、 ともすれば日本のIT産業を衰退させる要因になる。

実際に私のサイトには「競技プログラミング 意味ない」 で飛んでくる人が少なからず存在する。

私は、 競技プログラミングは意味があると思う。 しかし、このような事態が続き、PASTによって 不評をさらに広めようとすれば、 競技プログラミングは意味がないという考えが社会に広まり、 結果として日本はさらにIT後進国に突き進むことになる。

AtCoder社が今後すべきこと

AtCoder社にとってもっとも大事なことは何か? それは、レーティングの価値を正しく保つことであると考える。 理想的には、過去のX色と現在のX色が同等に難しいことを保証すべきだ。 これは難しいことであるし、実質的に不可能であるが、放棄すべきではない。 特に、もっとも多くのプログラマをカバーするABCについては 今回のことは出来るだけ避けるべきである。

それが、AtCoderの参加者のためにもなるし、 AtCoderを使ってくれる企業のためにもなる。

そのために、 AtCoder社はコンテスト前にテスターによる 事前テストを実施すべきだと私は考えている。 あまりに外れた難易度推定は、これによって弾くことが出来る。

テスターはどのような人物が良いか。 それは、問題の得意不得意があまりなく、 極端に才能があるわけではなく、 網羅的に学習を積むことで実力を伸ばしてきた人物が良い。

幸いにも、私はそういう人物に該当する。

Rustコトハジメ

私は、現在1191だが、1200に到達したら、AtCoderへの参加は しばらくやめて、CFとLeetCodeへの参加を中心にしようと考えている。 これは単に、AtCoderよりCFの方が問題が良質であり、解くことによって学ぶ機会が多いと信じるからである。

しかし、競技プログラミングのファンとして、AtCoderが盛り上がることには賛成である。 だからもし、AtCoderがテスターを欲しているのであれば、力を貸したいと思っている。

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