【25年目の麻布中学合格体験記】出願。中学受験の世界観

麻布中学と栄光中学のどちらかに合格しなければ私立への進学はないということにはなっていたから、実質的には意味はなかったのだろうが、出願自体はやたらに埋めておいた。

このシリーズは中学受験の経験がない人にも、中学受験の世界を知ってもらうという目的もあるから、中学受験の日程などを含めて、その世界観を説明しておければと思う。中学受験は素晴らしいものだ!

出願校のリスト

私の出願は以下のようなものであったと思う。残念ながら、後半の記憶は(実際に受けなかったこともあり)曖昧だが、こんな感じだったように思う。

  • 2月1日 麻布
  • 2月2日 栄光
  • 2月3日 浅野
  • 2月4日 聖光二次
  • 2月5日 慶応二次
  • 2月7日 攻玉社算数選抜

今の要項を見ると、攻玉社の算数選抜が5日となっているが、私のかすかな記憶では、当時はもっと遅い日にちだったような気がする。

このうち、実質的には聖光二次と慶応二次は、受けても合格確率は低かったと思う。なぜならば、試験対策を一切していないし、二次試験は一日校落ちが生き残りを賭けたサバイバルゲームになるからだ。大学受験でも、後期試験の方が前期試験より偏差値が高く出る傾向があるが、それと同じ原理だと言える。

算数選抜というのは、文字通り、算数の一教科だけで合否を決める入試のことで、攻玉社というのはそれ以外の学校よりは多少ランクが落ちるが、算数一発野郎が集まるのだとすれば、それなりにシビアな戦いにはなったと思う。だから、塾としては全部受けて出来るだけ実績を作ってほしかったとは思うが、私は3日目の時点で麻布に受かったら、その後は受けないつもりだった。戦績に傷がつくからだ。ちなみに調べてみると、この算数一発型入試は、私の頃は攻玉社しか知らなかったが、今はかなり多くの中堅校で実施されているらしい。彼らは、総合力がなくて御三家に落ちてしまったが、算数だけは出来る知能指数の高い子を青田買いしたいからである。

中学入試のスケジュール

御三家は一日にある

さきほど、「一日校」という言葉を使ったが、首都圏の中学受験のメインは2月1日から3日間である。それ以降は、二次試験とかが行われる。それぞれの学校が、欲しいランクの子供をカバー出来るように、最適な日程で試験を開くため、全体としてバランスがとれている。

1日校にはまず、御三家がある。御三家というのは私の行った麻布の他、開成と武蔵のことである。これらの試験が1日目に行われるというのは、これは中学受験界の法で定められたようなものであり、たぶんこれからもずっと変わらない。だから、スケジュールはこの「真実」を中心に構成される。つまり、御三家の滑り止めや併願校は2日以降に入試を行うし、中堅校は敢えて1日目に行うケースもある。あるいは、御三家は受験はしないけど高レベルな子供を狙うために敢えて1日目に行うケースもある(あとは地理的にバッティングしない場合も一日に当てたりする)。入試スケジュールを見るだけでも、各校の思惑が読み取れて面白いものだ。ふつう、私立中学は受験成績によって社会から評価されて順列づけられるから、どの学校も出来る限り頭の良い子を掴もうと必死である。女子についても同様で、御三家(桜蔭、女子学院、雙葉)は1日校である。一日目は、王様のポジションといってもいいだろう。

従って、一部のお金があって公立を回避するためにどこでも私立ならいいのよという富裕層を除くと、首都圏の子供はみんなまずは御三家を目指す。それから成績が伸びなかったり色々な理由から諦めたりして、別の学校を志望することになる。

御三家を記念受験する見栄っぱりたち

だから、一日校については、当初からの憧れで記念受験をするケースもある。中学受験にはセンター試験のようなものはないから、受験料さえ払えば誰でも試験を受けることは出来る。このシリーズを書くに当たって、他の中学受験ブログもかなり調査をした(すべて親によるものだ。子供が命を賭けて戦ってるのに親は悠々とブログを書いてる場合か?まぁいいか)が、中にはまさに麻布中学なんか受かりっ子ない子を、自分の都合で記念受験させて結局不合格にさせてしまい、子供が傷ついてから自分のした決断の過ちに気づいたというケースもあった。

このように記念受験といったが、中には多く、見栄受験が含まれる。つまり、受験が近くなると親コミュニティの中では「一日校どこを受けるんですか?」が挨拶のように行われるから、ここで御三家の名前を言わないとかっこ悪いということだ。私が実際に聞いた最悪のケースでは、塾からは一日目麻布が無理だとして反対されたが、親がそこから塾と離別することを選択して麻布を受けさせてやっぱり落ちたという例がある。最悪だ。だから、麻布中学の場合は倍率は3倍程度なのだが、この中には多くの記念や見栄が入ってるから実質的には2倍程度。バキバキに叩き上げた若馬たちが戦い合う、まさに日本ダービーなのである。だからこそそこにドラマがあり、合格発表には多くの報道陣が集まるのだ。

2日目と3日目

2日目と3日目には私は栄光と浅野を受けたが、この2日間には、御三家との併願を狙って入試日を決めている学校がどの地域にもあり、御三家クラスの子供の受験校は大抵の場合は自動的に決定する。例えば、東京の子であれば、3日目は海城(あるいは筑駒)を受けるが、神奈川の子は浅野を受ける。私の通っていた塾では、一番出来る子は麻布・栄光・浅野を受けるのが定番で、これに全部受かるのが三冠と呼ばれていた。聖光は今ではかなり受験実績があるが、当時は栄光より落ちる感じで、中途半端なので受ける子はあまりいなかったように思う。

3日目以降は地獄(しらんけど)

こうやって3日目までで概ね中学受験は終了し、それからは3日までで決めきれなかった子供たちの消耗戦になる。想像してみてほしい。3年間本気で準備してきて3日間連続で死力を尽くしたが全滅、当然第一志望にも不合格、精神はボロボロ、母親はヒステリックを起こして父親とお決まりの「お前の遺伝子が悪い。育て方が悪い」バトルが始まり、子供は泣きながら眠るのである。でもそれからも生き残りを信じてがんばる子供たちの姿を想像してほしい。地獄だ。2月4日以降、中学受験生を見かけたら椅子を譲るなりしてあげてほしい。しかし私は幸運にも、そこには参加せずに済んだわけである。

中学受験の悲劇については以下にも書いたから、併せて読むと面白いかも知れない。

東大はチュッパチャップスじゃないさんの中学受験篇に思う - テストステ論

その他の世界

さて、ここまで読んで、じゃあ中学受験は2月1日から3日間だけなのか?と思うかも知れないが、これは首都圏の話である。今まで話したことを基本として、いくつか特殊なケースを追加で話す必要がある。

まず、中学受験は実際は1月から始まっている。推薦入試のようなものや、特待生選抜ようなものがある。私の時であれば、暁星国際の特待生は有名だった。

あとは首都圏の中学受験生に関係のある話としては、灘中学の入試と鹿児島ラ・サールの入試は1月中に行われる。首都圏の優秀層には、塾の実績作りのため塾にお金を出してもらって遠征し、こういった学校に出向いて、浜や希に通う関西の小学生たちと頂上決戦を行ってくる子もいると、神話レベルでは聞いたことがある。

あと、筑駒は、2月3日に行われるが、これは国立であり、出願資格に学区が定められており、簡単にいうと東京の子しか受けれない。従って、東京の最優秀層は、一日目に開成か麻布を受けて筑駒を受けて、筑駒に受かったら御三家を蹴るというケースがある(逆もたまにはあるようだが稀だ)。麻布を選択するパターンとしては、校風がとにかく好きとか、親が麻布出身とか、あとは文系志望とかの場合もあるかも知れないとは思う。

今回は、中学受験の日程や世界観について紹介してみた。中学受験の経験者や、今現在中学受験をしている親子にとっては当たり前のことかも知れないが、どちらかというとそれ以外の人たち向けにわかりやすく書いたつもりである。


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