競技プログラミングは残酷な地頭ゲー

競プロポエムである。

今回のポエムでは、おれの苦しみをすべて吐き出す。 それは第一におれの心の整理のためであるが、 これから競プロをはじめようとする人たちのためでもある。 もし、あなたが今から競プロを始めようとするのであれば、この記事を読んで納得してからにしてほしい。

AtCoderに参加しはじめたのが去年の7月だから、もう半年以上経つことになる。 未だにおれはCodeforcesで青の下の方をうろちょろしていて、紫にどかんと上がれる感じではない。 自分にとって有利な問題セットが3連続くらいで出ればワンチャンあるかも知れんという程度である。 まぁでも、事はそううまくいくはずもない。むしろ逆の目が出ることの方が多いものだ。

この半年間、毎日、自分の頭の悪さに絶望してきた。 勉強すればするほど、自分の頭の悪さを実感し、絶望する。 問題が全く解けない。解法すら理解出来ない。頭が悪いことが唯一にして最大の原因である。

それが競プロなのだと理解した。理解はしたものの、やめられない自分との間に葛藤が存在する。 毎晩、寝る前には死にたいと思うようになり、泣きながら寝る。 ちょうどドラキュラの胸に杭が刺されたようなポーズで寝て、朝になったら死んでますようにザーメン と願いながら涙に濡れた目をそっと閉じる。 朝起きると新しい問題をまた解き始め、以下同じことを繰り返す。

競プロが、地頭ゲーであることは知っていた。 しかしだからこそと言っていいかわからないが、多少の自信はあった。 おれは中学受験をした。進学したのは麻布中学である。有名な進学校として知られ、中学受験御三家に数えられる。 本当の凡人から比べると、それなりに優秀な頭脳を持って生まれたとは思う。 大学は京大。大数の学コンも名前を載せたことがある。 小学生の時もやはりチャレンジ算数で名前を載せている。 決して、算数や数学をサボっていたというタイプではない。 むしろ受験レベルでいえば十分に優秀な方だと思う。

しかし、その程度ではどうしようもない。0(無)に丸められてしまう。 それが競プロの世界である。 この世界はまじでとんでもない。

では、才能が1にカウントされるのはどういう人間か。 数学オリンピック、情報オリンピック出身者、アナルプラグをつけながらでも余裕で東大・筑駒・灘に合格しちゃう人間くらいである。 その他は全員、0になる。毎度おなじみの「入力はすべて整数」である。

具体的にいうと、すぬけ氏は、灘高時代に囲碁で全国大会に出るような天才である。 例えば、故人の長尾健太郎氏や、同じく灘出身で京大医学部を出て囲碁棋士になってタイトルまでとってしまった坂井秀至氏に 匹敵する才能の持ち主といえる。 りんご氏は数オリの3年連続金メダリストで、筑駒史上最高の天才候補として挙げられる天才である。 こちらはテレンス・タオの一歩手前といったところか。

幽遊白書の世界でいうと、彼らは、S級妖怪なのだ。 幽遊白書の魔界編では、S級とA級妖怪しか出てこなかったが、競プロの上位勢というのはこういう感じの人間たちだ。 彼らのさらに上のtouristというのはどういう人間かというと、チェスでいうとボビー・フィッシャーとかそういうレベルの天才である。 一方でおれは、暗黒武術会編にすら出てこないような雑魚妖怪である。そのくらいの差がある。 乗り物で例えると、F1やスポーツカーと、三輪車くらいの差があると言ってもいい。 知能というのはそういう差があるものなのだ。

体力の世界では、世界最強クラスに強い人間でも、スクワットというのは400キロやそこらしか挙がらない。 どんなに才能がなくともスクワット80キロは挙がるようになるとして、たかだか5倍である。 一方で知能の世界では、100倍1000倍10000倍というレベルで差がついてしまうものなのだ。

競プロにおける才能というのは、この0の数のようなものなのだ。 そして、レーティングの色というのは0が1つ違うごとに1つ変わるくらいに差があるものなのだ。 だから、そもそも0の数が違う人間はすんなりと黄色だオレンジだと上がっていくというわけである。 努力というのは、自分の才能に0を1つや2つ付け加えるための作業だと思えばよい。

おれはもちろん、今の実力が自分の限界だとは全く思っていない。 参加はじめて1年も経っていないのに才能がどうとかいうんじゃないよと怒る人がいるのもわかる。 しかし、こういった分析をすると、これだけやってこの程度なら、あとどのくらいやってもこの程度にしかならないだろう というのがなんとなく予想出来てしまう。それが、絶望につながるわけだ。 おれはというと、仮に何年も続けて限界まで叩き上げたとしても、 CFのGrand Masterになるのは無理なのではないかと、半分は諦めている。(半分はまだ自分に期待している。だから続けている)

競プロほど残酷なものはない。 競プロはたしかに面白い。しかしそこには才能の差という残酷な現実が存在し、 続けていればいつかはそれに苦しめられる日が来るということを知っておいた方がよい。 それに納得出来るならば、AtCoderのアカウントを作成すればよい。

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