39歳にして、フルOLLをマスターした京大卒の者

ユーチューブの履歴によると、おれが ルービックキューブに出会ったのは2021年の夏らしいから もう2年も前のことになる。 ユーチューブの視聴者から入門用のルービックキューブが送られてきたので、 じゃあ解くかということで 超初級解法であるLBL法を学んだのが一番最初だった。

これは秒でマスターすることが出来た。 ルービックキューブは、ただ解けるようになるだけならば 適当な動画を一本見れば十分だろう。 麻布の後輩の松丸くんが、達人に教えてもらって1時間で解けるようになるという 動画を出していたが、特にすごくなくて、ふつうだと思う。

その後、おれは簡易CFOPに取り組みはじめ、 諏訪湖に行きキューブ特訓をしたこともあった。 途中、塩尻かどっかで電車を待っている時にも、 横に座ってる田舎の女子高生に目もくれず、 必死に簡易CFOPを記憶していた。 諏訪湖を眺めながら回し、 帰りの特急の中でもずっと回していた。

簡易CFOPを勉強したあと、まずはPLLを段階的に覚えて、結局PLL21はマスターした。 過去の記事を見てもらえばわかるが、まずはPLLのうちGパームなどやや難のものを省いた13種を覚え、それから21種を覚えるという段階を踏んで、 結局すべてマスターした。 この時点でタイムを短縮することを目的に冬の紋別に回しにいき、 3日間で10秒くらい短縮し、30秒くらいでは安定するようになっていた。

そこから、単に3x3のタイムを短縮するだけだったらフルOLLを覚えるのがもっとも直接的だっただろうが、 おれはそれではなんとなく味気ない感じがしたのと、 フルOLLを覚えるということが苦痛に見えたこともあって一旦脇道に逸れることにした。

2x2のオルテガメソッドをやりまくった時期もあったし、 3x3についてもVHLSをやりこんでいた時期もあったし、 その後はより原理主義的な解法であるRouxを勉強してこれも一応解けるようにはなっていた。 一般には簡易OLLは2Lookでやるが、 これを1LookでやるというCompound OLLという手法もあり、 最後はこれをやっていた。 特にタイムを短縮する意識はなかったが、最速では24秒くらい。 実力的にはやっていれば単発で20秒くらいは出るだろうなくらいの感覚はあった。

なぜ、タイムを短縮する意識がなかったかというと、 最速のメソッドでやらないのであれば、その練習は最終的にすべて無駄になると思っていたからだ。 通し練習を繰り返すのであればそこには当然フルOLLが含まれているべきであり、 練習の度にフルOLLが習熟されるべきであるという考えを持っていた。

一方で、自分の中には、フルOLLは覚えるのがめんどくさいとか、 フルOLLを覚えるくらいならばもうルービックキューブをやりたくないという思いもあり、 この気持ちではもう続けられないと思い、 おれはしばらくルービックキューブから離れることにした。 フルOLLを一気に覚えるとなると相当な根気が必要になると思ったし、 気持ちが中途半端ならばやってもしょうがないと思ったからだ。

ブログやユーチューブでは話したが、 この春に、長年おれの知能をファックしていた 鼻中隔湾曲症の再手術をして、 鼻詰まりが劇的に改善した。 それにより、おれの知能はかなり上昇し、 今ならばフルOLLを一気に記憶出来ると感じ、 再びルービックキューブに戻ることにした。

フルOLLを学ぶに当たっては基本的にノムノム氏の動画シリーズを参考にしたが、 記憶する上で一貫性にかける手順などについてはCube Voyageなどのサイトから手順を引っ張ってきて、 自分なりにアレンジした。

フルOLLの手順は57個ある。 OLLは、基本的には絵柄とマッチングし、それを解くためのアルゴリズムを実行するだけの作業的なものである。 しかし、 ここでアルゴリズムはただ手順が短ければ良いというものでもなく、 手順が長くても自然な手順であった方が回しやすくタイムも速くなることがあるし、 手順自体をストーリー記憶しやすくなったりもする。 記憶という観点では、各OLLは全く独立というわけではなく、 絵柄が似てるものは似たような手順で解けたりとか、 あるいは複数の簡素な手順の組み合わせで解けたりだとか、 あるいは鏡手順で解けたりだとかするため、 57個の手順をお経のように頭に入れなければいけないというものでもない。 逆に、そういった記憶のしやすい形に整理することには、 受験ソルジャーの自分にとってはどちらかというと得意なことだ。 とりわけおれは、もともと単純記憶能力は弱い自覚があるし、 年齢のこともありそれはより弱くなっているような自覚もある。 だから、情報を記憶しやすいように整理することには手間をかけた。

どういうアルゴリズムを覚えるかを決めたら、 あとはOLLトレーナーで訓練を繰り返した。 これについては、 覚えたものを消していくという地道な作業を続けたわけだが、 モノグサやAnkiのような、 よりインテリジェントな学習システムがあったらより助かったと思う。 学習においてはエビングハウスの忘却曲線を意識することは必須であり、 OLL学習においてそれは特に効果がある。 OLLを57種すべて記憶するというのはそれなりに大変なことであり、 ただ闇雲にやって身につけるのはかなり難しいだろう。 特に、無意味なものを無意味なまま受け入れられるような幼少期ならばともかく、 そういう能力が失われた成人にとっては、この手の暗記は工夫が必要となる。 しかし逆に、今回OLLをすべて覚えられたことにより、 学習の技法を駆使すればこのレベルの無意味っぽい記号の羅列を記憶することが 出来ることもはっきりしたことになり、自身の今後に対して自信が持てるようになった。 よく、年をとって記憶力が落ちたからと言い訳してロクに勉強しない人がいるが、 根本的な問題は、記憶力が落ちた時にそれを補うための学習テクニックを身に着けてこなったことにあり、 恥ずべきことだ。

最後に、今後の計画について話す。

今回はまず、よちよちでもいいからカンペを見ずに回せることをゴールとした。 これが出来れば、回しを高速化することは後からでも出来ると思ったからだ。 そこで今後のトレーニングとしては、

  • 通し練習
  • OLL-PLLの通し練習
  • 目隠しクロス(おそらく次のタイム短縮においてはこれがもっとも有効)
  • 苦手なOLLの個別練習

などのトレーニングを積んでいき、まずは安定して20秒を切れるレベルを目指す。 また、ルービックキューブ旅行もしたいものだ。

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