中学受験が終わったら大人の勉強を学ぶ必要がある

昨日、ルシファーの115回国試不合格が確定した。 あっけないものだった。

一年間ルシファーを観察してきて、 勉強法という一般論の範囲で 思ったことがあるので書いておこうと思う。

ルシファーがなぜ国試に受からないかというと、 それは、大人の勉強法がわかっていないからだと思う。

中学受験というのは一体何なのか。 これは例えるならば、陸上やウエイトリフティングのような生身の 性能を計測するための試験だ。 特に、上層に行けば行くほどそのその傾向は増していき、 ただのIQテスト感が出てくる。 従って、傾向として 数学や情報のトップレベルが 全員中学受験の上位層 で埋め尽くされることは自然なことだ。

それにも関わらず、おれも大学受験ではぱっとしなかったし、 ルシファーに関していうと、 36歳にもなって医師国家試験を受け続けていて、 傍から見ると完全に詰んでいるように見える。 一体何が起こったのだろうか。

ルシファーは結局東大理三に受かってるから失敗というのはおかしいかも知れないが、 彼の中学受験のポテンシャルからいえば、もっと楽に受かっても良かったと思うので 失敗したということにする。 ではなぜ失敗したかというと、 大人の勉強法を学ぶことに失敗したからだ。

それは一言でいうと、中学受験の強烈な成功体験が足かせとなっているからである。

中学受験というのは、その後の受験・ないしは生涯学習とはまるで異なる性質を持っている。 それは受験者がまるっきしの子供であり、その子供を塾や親がフルバックアップでドライブさせることが前提となっているからだ。 これは競馬でいう馬と調教師の関係に近い。 大学受験ならば、塾もない田舎の子が参考書や通信講座を利用し、ほぼ自学自習のみによって難関大に合格するということは よくある話だが、中学受験ではこれはありえない。 開成に行くと決めた子供が勝手に中学受験用の教材を買い揃えて、部屋に閉じこもり、出てきた時には開成に合格していた なんてことは絶対に起こらない。 自分で勉強しているように見える子供もいるかも知れないが、それも結局周りが巧みにドライブしているからに過ぎない。 開成に行きたいのであればまずはサピックスに行くべきだ。 そして、サピックスの教材を追われるようにこなしていき、気づいたら開成に合格しているしかない。 それ以外に道はない。実際、中学受験成功組はほぼ全員、中学受験は楽しかったと口を揃えていうものだ。

おれも気づいたら麻布に合格していたタイプだった。 とにかく塾には遅れたとしてもサボらず行き、問題を解き、添削を受ける。これを毎日楽しく繰り返していただけだった。 ルシファーもきっとそうだったのだろうと思う。 問題を解くことを楽しんでいて、気づいていたら当時最強だった日能研軍団の頂点に君臨し、 気づいたら、筑駒に合格していたのだと思う。

人間には人間の脳に適した勉強法というのがあるのだが、 中学受験でこういった強烈な成功体験が得られるような人間は、 そんなものは学ばなくても特に困らないという時期が続く。 それは大体大学受験くらいまでは続いてしまう。 好きな科目では、ただやってるだけで成績が伸びてしまうし、 苦手な科目もある程度はカバーされてしまうからだ。

大学受験には無意味な科目が多い。 例えば古文漢文なんか完全に無意味だし、社会なんかもどうせ一旦覚えたとしても 受験が終わってしまえば忘れてしまうようなものだ。 暗記主体の高校化学もそれ以降の化学にとってはほぼ意味がない。 しかしこれには今思えば意味があった。 これは、「大学に入る前には大人の勉強法をマスターしておいてくださいね」 というメッセージなのだ。

では、大人の勉強法とは一体何なのかというと、 苦手なことであっても努力によって改善する勉強法のことである。 あんまり面白くないなと思っても、日々調査し、知識を積み上げ、研究し、改善していく能力のことである。 大学に入って以降大切な力というのはこれであり、 生涯に渡って知的に活躍していこうと思うのであれば欠かせない能力である。 ラサールというスパルタ教育を行う学校の卒業生が大学進学後に留年率が高いという話があるが、 これは大学受験の反動で潰れるのではなく、他人にドライブされて勉強するということを続けてしまった結果、 大人の勉強法を学ぶ機会を失ってしまったがためだと考えられる。 同様に、大人になっても「勉強させられる」「仕事させられる」 という受け身の言葉を使ってる人間はかなり臭う。

さきほど、中学受験は生身の戦いだと言ったが、その比喩でいえば、 それ以降の戦いというのはいかに道具を学び、ないならば作っていく戦いだといえる。

おれは大学に入るまで、そしてルシファーは今に至ってもなお、 この能力を獲得出来なかった。あまり必要に思わなかったからである。 一般人が金属バットを持っていてもマイクタイソンには勝てない。 こういう状況では、マイクタイソンは武器の使い方を学ぶ必要性を感じることが出来ない。

なぜルシファーが国試で苦戦するかというと、 おそらくだが、ルシファーは医学部での積み重ねがないのだろうと思う。 その積み重ねなしにいきなり国試を突破しようとしているから、無理なんだろう。 そもそも本来ならば医学部を出て初年度で突破するような試験であり、東大医学部はその率は決してよくはないが、 やはり9割は突破する。まともに勉強してきた人にとっては 特に対策をしないでもルシファーよりは点数がとれるようなもので、 その上にいくらか集中的に国試向けの対策をするだけ受かるような難しくない試験なんだろう。 ルシファーが落ちる原因について、 SNSをやってるから受験数学にこだわってるからとうるさくいう人がいるが、それは些末な問題に過ぎず、 真の理由は、医学の基礎を積み上げてきてないからである。 大学院の受験に落ちてしまう人がたまに存在するが、それに似たようなものだ。

実際にルシファーの勉強風景を見ていると、 問題をやりっぱなしにして復習せず、ひたすらたくさんの問題を解くということに終始していることがわかる。 多くの人から見ると、この勉強法は異常かも知れないが、 中学受験の勉強というのはこういうものだ。 フードファイトのごとく 次から次に新しい問題が渡されてきて、それを神速でクリアしていくだけで 実際には復習効果が得られてしまう。塾にそう仕組まれているからだ。 しかし、中学受験以降の世界はそこまで甘くはない。 問題を誤答した時、なぜ解けなかったのかを分析し、 次解けるようになるためのアクションを自らとっていく必要がある。 試験勉強でなくとも、自分は何がわかっていないかを自問自答し、それを自ら補って行く必要がある。 社会に出たあとも、自分に足りない知識を分析し、それを補う日々が続く。 人生は一生勉強であり、大人の勉強法がわかっていないと詰んでしまう。

逆にいうと、中学受験のままのノリで勉強していてなんとかたどり着けるのが おれの場合は京大工で、ルシファーの場合は東大理三だったのだろう。 中学受験の時点でそのくらい差があっただろうから、おれ的には納得の行く説明だ。

おれが比較的幸運だったのは、 おれは大学入学時にすでに+2だったので、1年も留年を許されなかったことだ。 入学した京大電電というのもブラック学科と呼ばれるほど勉強量の多い学部で、 空き時間があれば図書室に行き、勉強する習慣がついた。 当時おれは自分のことをアキラマイオニーグレンジャーと呼んでいたものだ。

おそらくだが、国試に4浪しているルシファーが卒業出来ていることを見ると、 東大医学部というのは進級や卒業についてはガバガバなんだろう。 少なくとも医学部医学科への進振りは基準が極めて低く、ほぼ全通状態である。 これがルシファーにとっては不幸だったと思う。


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