ポワロシリーズ最高傑作「五匹の子豚」

オススメ度:★★★★☆

洋タイトル:Five Little Pigs

ポワロシリーズの中でも特に評価の高いアクロイド殺しは結構有名だ。 対してこの五匹の子豚は名前自体はそこまで有名ではない。しかも名前も童話みたいだ。ふざけてる。 しかし、超のつく傑作だ。

過去の事件の真相を解明して

物語は、ポワロの元に一人の若い女性がやってくることから始まる。 名前はカーラ・ルマンション。 彼女は、ポワロに対してある事件の真相を解明することを依頼しにきた。 しかしその事件が、過去のものであり、すでに世間的には犯人が確定し、 犯人は獄中で死亡している(自殺?)。 その犯人が、カーラの母親であるキャロライン・クレイル。

カーラがポワロの元を訪れたのは、キャロラインが死ぬ直前にカーラに送った手紙に 自分は無罪であるから正々堂々と生きなさいと書いてあったためで、 自分の母親がそういう気休めの嘘をつく人間ではないと信じるカーラは、 別に犯人がいるはずと思ったのだ。

ポワロははじめ気が乗らなかったが、この父親があのエミリアス・クレイルだと知ると、依頼を受けることとする。

事件の表面的な説明

事件は16年前に遡る。

天才画家エミリアス・クレイルは画家としては最高の人物であったが、 人格は破綻していた。特に、女遊びは昔から絶えなかった。 そして今、キャロラインという妻がありながら、 エルサ・グリーアという美少女と恋愛をしていた。 自宅に住まわせ、キャロラインの前でいちゃいちゃすることは日常茶飯事であった。

当初は絵のモデルという名目だったが、エルサの魅力にとりつかれたエミリアスは キャロラインを棄て、エルサと結婚することを約束する。 ある日、若きエルサはキャロラインに対して、この秘密をばらしてしまう。 するとキャロラインは激昂し、エミリアスに対して「殺してやる!」と怒り狂う。 その後、エミリアスは飲んだビールに入っていたコニイン(毒人参の成分)による中毒で死亡。 犯人は誰なのか?

その前日、 近くの道楽家メレディス・ブレイク宅でお茶会のあと、 彼の自慢の薬物お披露目会が行われた。 そこでお披露目されたのがコニインであった。 事件直前、メレディスはコニインの瓶が空になってることに気づき、 盗まれたと確信する。

そして、事件後、キャロラインの香水瓶からコニインが発見され、 その瓶からは彼女の指紋しか出てこなかった。

というわけで状況証拠からキャロラインが犯人となり、 終身刑を言い渡されたのであった。

真犯人は誰なのか

過去の事件ということもあり、ポワロのとった捜査手法は主に、 過去の記憶の聞き取りであった。 まずは弁護士や検事、そして当時エミリアスのまわりにいた5人。

5人とはすなわち、

  • フィリップ・ブレイク:メレディスの弟。優秀
  • メレディス・ブレイク:ぼんくら薬物マニア
  • エルサ・グリーア:超絶美少女。キャロラインを殺したかったのは間違いない。
  • アンジェラ・ウォレン:キャロラインの年の離れた妹。子供の頃、キャロラインにものをぶつけられて目に障害が残る。この恨みによる犯行か?
  • セシリア・ウィリアムズ:アンジェラの家庭教師。アンジェラの成長のためにエミリアスはこの子を学校に入れようとしていたが、もしそうなると家庭教師の職を失ってしまう。殺しの動機がある。

である。この5人をポワロは5匹の子豚と呼んでいる。

この5人の元を訪れるのが第一部。 第二部は、彼らにお願いした事件前後の記憶をまとめた手記。 第三部は、「再構築」である。実にシンプルな構成である。

5人の記憶から、事件の真相を再構築し、真犯人を暴き出す。

最後までキャロラインが犯人だという線が消えない

注意せずに読んでいたためか、 やはり犯人はキャロラインなのではないかという先入観が最後まで拭えなかった。 推理小説なのだから、そんなわけはないのだが、キャロラインが犯人でないという証拠が これが推理小説だからという理由だけではあまりに寂しい。 もし犯人がキャロラインでなければ、エミリアスはやはり自殺したのではないかと思っていた。

ところどころ、5人の証言にズレのある点や、 なんとなく奇妙だなと思う点は見つかったが、結局ポワロと同じ推理をすることは出来なかった。

ポワロがしたことはこういうことである。 5人の記憶には共通した部分がある。 しかし、実際に起こったことを自然な解釈として誤った解釈をしたのだとしたらどうだろうか? と考えることで、実際に起こったことを想像する。

タイトルはふざけているし、あまり有名な小説ではないけど、 推理するに十分な情報は文中に与えられているため 本格的な推理小説であり、読み終わってみるとパズルのような楽しさがあった。

「あぁそういうことだったのか!」とポワロの推理に感嘆し続けて、気づいたら 朝の6時半になっていたのである。

東出昌大と唐田えりかの不倫に似てて辛くなった

おれがこの小説を読んでいる最中に、東出昌大と唐田えりかの不倫騒動が起こった。 この小説の登場人物をエミリアスを東出に、杏をキャロラインに、唐田えりかをエルサに 置き換えれば、やっていることは変わらない。

唐田えりかの匂わせはエルサの暴露と同じだし、 東出がクズなことは同じだ。 唐田えりかが美少女であることも同じ。

ただ違うのは、エミリアスが殺されることと、作中ではキャロラインが犯人に間違えられて死んでしまうこと。 東出と唐田の話も、こうなれば最高だった。

ポワロもまた真実にしか興味がない。

最後におれが思ったこと。

もし当時、ポワロがこの事件を担当していたら、キャロラインは間違って死ななくて済んだかも知れない。 おれが面白いと思ったのは、 ポワロからこの後悔の念が一切出てこないこと。 エミリアスが絵にしか興味がないように、ポワロもまた真実にしか興味がないんだろうな。


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