【感想】「音読革命」お経を読むと頭がよくなるらしい

七田眞先生は、右脳教育で有名である。彼の理念は、一言で言えば「地頭重要」である。地頭さえ良ければ後の学習はすべて楽勝である。従って幼少期にまず地頭を作るのが重要だという理念である。彼の創設した七田チャイルドアカデミーでは彼の理念と理論に基づいた教育が(たぶん)なされており、(たぶん)たくさんの天才少年少女を輩出している。早期から詰め込み教育をする先行逃げ切り的な英才教育ではなく、あくまでも地頭を作ってあとで一気に逆転することが目的というのが違いである。幼少期の教育がその後の人生にとって大きなウェイトを占めるということに異論を唱える人はいないはずである。その具体的な手法について実践しているのが七田眞という人間である。

彼の脳への理解は簡単である。コンピュータ的にいうのであれば左脳はCPUであり、右脳はGPUコプロセッサ。右脳には圧倒的な並列処理性能があるため、右脳を使えるようになり、あらゆる情報を右脳で処理出来るように開発してあげれば良い。

そのための手法として、素読を挙げている。素読とは、徳の高い本を繰り返し読むことであり、身体に染み込ませることを目的とする。身体に染み込ませることを七田先生は「完全記憶」と読んでいる。曰く、個性/想像力というのは完全記憶の結果であり、教育の本質は暗記である。左脳的な知識詰め込み教育はダメであるが、暗記は個性/想像力を育てないなどというのはとんでもないでたらめである。むしろ、完全記憶によってそれらは育つ、空っぽなものからは何も生まれないと述べている。

著書では根拠の一つとして、ノーベル賞受賞物理学者の湯川秀樹先生が幼少期に漢詩の素読によって鍛えられたということが挙げられている。湯川先生自身も、幼少期に素読で鍛えられたことは無駄ではなかったと後になって振り返っており、決して七田氏のひとりよがりでない*1。他には、ユダヤ人が幼少期に聖書を暗記させられる*2ことを例として挙げている。なるほど、徳の高い文書を素読するということには何らかの意味がありそうである。その説明として、高い処理性能を持った右脳が開くからというのは、理解出来ないこともない。少なくとも、能力面において何らかの利益をもたらしていることは疑う余地がない。

私は最近、能力の衰えを感じる。というか、目指す自分に対して自分の能力が不足しているように感じるというのが正確である*3。そのため、地頭を高めなければ一生人生を悲観することになると思い、このような本を読み始めた。読んでみると不思議なことに、私にも幼少期に素読した経験があった。

私が通っていた幼稚園でははんにゃーはらみーたーというお経(般若心経?)を読む。祖母のうちでは浄土真宗のお経を読んだ。こちらは暗記したし、今でも少しは暗唱出来る。小学生の頃から円周率に興味があったので、図書室にあった本に書いてあった30桁を暗記した。中学に入ると、200桁を暗記した。これは今でも50桁くらいは暗唱出来る。なぜ暗記にこだわったのか、理由の一つは、円周率を暗唱出来ることにオリジナリティを感じた*4からであるが、もしかしたら本能的に、暗記が自分の能力を作ることを感じていたのかも知れない。

私は、いかなる分野においても高みに辿り着くには右脳を活用するしかないという考え方である。逆に、現在高みにいる経営者、科学者、技術者はすべて、右脳を開発していると思っている。彼らは凡人とは違う世界を見ている。右脳を開発することには疑問を感じないし、囲碁も、技術者として生きていくための脳を作る訓練として選択し、勉強した*5*6。そして今度また、素読にチャレンジしてみようと思っている。まずはこの本に書いてあるものを読む。そして次は、浄土真宗のお経を読もうと思う。それは子供の頃読んでいたものであるし馴染み深い。

私は右脳を開発する。その効果は、ソフトウェア技術者としての私のこれからの活躍で知ることが出来るだろう。 あなた方も右脳開発を始めてみませんか。

*1:ただし、湯川先生は、右脳がどうとかは言っていない。しかし彼が「素読によって右脳が育てられた」といえば、誰だって疑わないはずだ *2:おまけに彼らは、良く暗記出来るとはちみつをご褒美として与える。これによって、勉強することは良いことだと刷り込むのだ *3:私は平均から見れば十分優秀だと思う。しかし、今の人生には不満がある。常に自由にチャレンジし続ける人生を送るための資格は、より圧倒的な才能であると感じる *4:お前らの円周率は3.14なの?おれの円周率は3.141592…だよと言えればクールであろう?え、そう考えるのはおれだけ? *5:そして最近また開始した。囲碁は一生の趣味としたいと思っている。七田先生は、素読以外に右脳を作るものの一つとして囲碁を挙げている *6:頭脳に限らず、本質的な力を磨くことは重要である。例えば、藤沢秀行氏は若い棋士に対して「闘う力をつけろ」というアドバイスを与えた。闘いを避けて勝つ技術などというのは後からでも身につく。まずは碁の本質である闘いに強くなれということである


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