カーネルVMでdm-writeboostについて発表してきました!

昨日発表してきました。

コードがなくても話せるので、コードなしで話しました。詳細な動作とかも(カーネルVMのみなさんなら)コード読めば概要レベルは30分で分かるので、完全に省きました。その代わり、戦略的なところとか、コミュニティ活動の話をしました。こういう話をする方が価値があると思ったので。ネタが豊富にあって、ソフトウェアがコミュニティによって磨かれていく過程を共有することに価値があると思いました。

ソフトウェアは、基本原理も私のアイデアではないですし、実装もそこまで大したことはないのですが、しっかりとドキュメントを書き、明確な戦略でアプローチしていくことで人を巻き込んでいけていると思います。明確な戦略は、理解されやすいだけでなく、賛同されやすいです。リードを捨てるという個性はDMの世界で価値を見出すための戦略だと説明しました。ITが高度化することによって、個性のない技術者も技術も、価値を失います。アピールするためには可能性を示さなければいけません。多くの開発者は、一つのことにこだわりシンプルであることに可能性を感じますからここを追究する作戦です。また研究という面でも、一つのことにとことんこだわった方が深みが出ておもしろくなるものです。ライトブーストの価値の本質はエンジニアリングの面での美しさにありますが、研究としての鋭さも捨てていないため、ソウル大学の研究者から注目されるなどという経験が出来ています。戦略的オープンソース開発と言えます。

原理についても理解されたようで、SSDのスループットをさらに高める方式についてアイデアを拝受しました。構成を限定すれば出来ないこともないので、将来的にはオプションとして出来るようにしようと思います。R/Wが釣り合うことが理想なストレージと仮定します。ライトが40MB/s出てしまえば、ランダムリードでこれに匹敵するHDDは大体40並列くらいは必要です(しかも実際は本当に並列になるケースは難しい)。従って、ほとんどのケースでは、スループットをさらに上げるよりは、余計な最適化を省くことでコードを軽くする方がメリットがありますし、それがライトブーストの売りでもあったりします。また、そのようなシステムであれば、DRAMを積んでリードを担保することは難しくないよね?そういう規模をピンポイントに狙っています。実際、世の中で売れているストレージというのは中小規模であり、究極的な性能はほとんどの領域で求められません。ライトブーストは中小規模のNASでの利用を想定します。その一方でピーク性能へのこだわりも捨てないというところに若干の難しさがあります。

良い発表の機会をいただいたことに感謝します。参加するだけでなく、発表することによってしか得られない理解もありますから。オポ力も高まりました.

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