京大合格体験記の復刻を考える

浪人は絶滅危惧種

大学受験において、現役志向が高まってると言われている。 これは、浪人をさせて上げられないとか、 仕送りをする余裕がないから地元の駅弁にしか行かせられないといった 経済的な理由もあるだろうが、 大学受験自体が簡単になってることも理由の一つだと思う。

受験地獄はもう遠い過去……時代は「大学全入」から「大学淘汰」へ

実際、不合格率というものを見ると、急激に減っていることがわかる。 現在50歳くらいの人(団塊ジュニア)が受験した時は不合格率が40%を超えていて、 実際浪人は当たり前という時代だったようだが、 それがおれの時代では20%くらいになり、 どんどん低下し続けて今では数%というレベルになっている。 最近の受験インフルエンサーは、不合格率10%以下の世代だろう。 全く話になってない。

今では、まともに競争が成立しているのは東大を始めとする最難関大学くらいであり、 それ以下の大学ではもはや実質的に競争などないのではなかろうか。 実際、wakatte.tvに出てくる人を見てみると、 社会的には難関とされるMARCHクラスでも、 頭すっからかんのやつが出てきたりする。 これは推薦のせいもあろうが、一般入試すらも簡単になりすぎてるのだと思う。

中学受験に関して同様の考察は過去に行った。

現代の中学受験における偏差値希釈に関する数理的考察

浪人をする人間のほとんどは、 (特に麻布などの進学校の人はそうだが) 現役時代に舐め腐ってたことが原因なので、 一からやり直すという意味で予備校に通うことを考えるが、 今は浪人が減ってるから予備校ビジネスも厳しくなっているようだ。 今はネットが発達して、参考書の情報などはいくらでも手に入るし、 やる気があれば予備校に行く必要は全くなくなってるからというのも、 予備校の需要が低下している大きな理由となっていると思う。

京大多浪会

そういった背景もあってか、 今では京大には京大多浪会というサークルがあるようだ。

入会条件は二浪以上であること。

おれが受験した2005年当時でも、2浪となると珍しい部類ではあったが、 1浪もそこそこいたため、 そこから一年多く回り道をしてしまった人くらいの感じだったが、 今は現役が多くなっているから、2浪というと20年前の感覚でいうと2.5浪か3浪に近いくらいの印象があるのかも知れない。 確かに、当時でもクラスには3浪の男がいたが、麻原彰晃のような風格があった。

これには理由があり、新卒就活のことを考えると、+2までは新卒扱いという枠で採用されるという暗黙のルールがあるからだ。 それを知ってるから、ほとんどの人は2浪までで諦めて、どこかには進学する。 だから、3浪となると覚悟が違うことになり、風格が違うのは当たり前ということになる。

浪人百万遍

その多浪真理教が出版している雑誌が 「浪人百万遍」であり、 おれも第一版は読んだ。 当時、京大ゼレンスキーというのがネットで流行っていて、 そいつがこの雑誌に寄稿してるというので、 通販で買って読んだのだ。

一応全部読んだが、 全体を通していえば、 はっきり言って面白くなかった。 なぜ面白くないかというと、人間が浅いのだ。 2年も3年も浪人したのに人間が全く熟成されていない。 だから、面白いことが書けない。 そんな印象を持った。

多浪をなめるんじゃない。 そういう気持ちになってきた。

本物をお見せしたい。

エール出版

おれも京大には2浪して入ったが (正確には2年連続で東工大に落ちて、1年で京大に入ったので京大は現役という解釈をしている。それと同時に東工大に対する謎の畏怖がある)、 合格体験記のようなものをエール出版に寄稿している。 今でもこのシリーズは続いているようだ。

しかも2回寄稿している。 1回目に寄稿したら、その内容が出版部の人に気に入られて、 もう一回書いてくれということになって、別の寄稿をしたのだ。

だから、エールの合格体験記2冊に、おれの文章が載っている。 さらに、通常に与えられる範囲だけでなくコラムのスペースももらって、 ながら勉強の是非についても偉そうに語っている。

昨日、久しぶりに実家に帰ったので、懐かしさから自分の合格体験記を読んでみたが バチクソ面白かった。 他の人が真面目な顔をしてしょぼい勉強法について語っているのに、 おれはなぜか競馬について語っている。

その頃から完全にテストステ論なのだ。 そこにテストステ論の原型があるというよりは、 すでにテストステ論が完成している。 確かに今のおれから見ると、一文がやや長いことがあったり、 手直ししたいところも多々あるが、 文体としてはすでにテストステ論が完成していた。

実際、おれの合格体験記は読者の記憶に残るものだったらしく、 受験生時代に立ち読みをした人から、おれの合格体験記について 面白かったと言われたりもしている。 10年以上経っているのにだ。 明らかにふつうではない。

Kindle出版

今おれが計画していることは、 この合格体験記をKindle出版で復刻することだ。

2冊に載せた合格体験記と、いくらか書き足そうかとも思っている。 具体的には、おれの京大受験を支えてくれた女の話になるだろう。 さすがに当時の原稿には含めることは出来なかったが、 自分で出版するならば書きたい。

肝心の著作権がどうなっているかだが。 調べたところ、おそらく原稿の著作権自体はおれにあるという 結論に至った。 従って、おれが内容を再度タイピングして、別のフォーマットで出版し直す分には何ら問題とならないだろう。

「買取り契約」という言い方は、今でも時折耳にしますが、これは場合によっては誤解を招きかねない表現なので、使用するときはその意味する契約内容を十分に理解した上で、契約の相手方との間で認識のズレが生じないように注意することが必要です。  出版界で通常、「買取り契約」といわれているものは、著作権の譲渡契約を意味するのではなく、一回限りの原稿料(著作権使用料)の支払いで、その後、同一の出版物が発行されている限り、使用することができるという内容を指すことが一般的です。著作権自体は、あくまでもその著作物を創作した著作者の手許に留保されていると考えるべきです。 https://www.jbpa.or.jp/copyright.html

打ち込む作業自体はやるだけとして、 あとは編集とか表紙のデザインか。 実際にKindle出版をしたことがないのでその手続きなども不明だ。

しかし、今のところ、やってみるつもりだ。 多少の収益のためもあるが、なにより、浪人百万遍程度で 多浪イキリされては困るという気持ちがある。

お前らは多浪生としても三流であることを教えてやる。

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