三浦春馬を弔うために映画を三本見てみた

三浦春馬という役者が死んだ。今のところ自殺だろうと言われている。 死にたいと書いた手帳もあったようだし状況的にも自殺っぽいということで、 却って「何もかも揃いすぎて」おり、エルキュールポワロなら他殺を疑うところだが、 とにかく三浦春馬という俳優について知りたくなった。

おれは三浦春馬という俳優の名前は知っていたが、どんな俳優だかは知らなかった。 どうせまたくだらない中性的なだけの爽やか俳優だろうと思っていた。 最近の日式若手俳優はそんなのばかりだ。 それもこれもすべてジャニーズが悪い。 ジャニーズがスマップからはじまりたくさんのただ若くてただ甘いだけの ショートケーキみたいな男を強引に俳優として売り出したために、本物が育たなくなってしまった。 今はジャニーズの社長となった滝沢秀明は今や、ただのコロボックルだ。

おれが本物だと思う俳優は誰か。唐沢寿明と吉岡秀隆は本物だと思っている。その他はよく知らない。 本物になるためには、本物の俳優と一緒に本物の映画やドラマに出て、本物の演技を学ぶしかない。 そういう機会を積み、俳優は本当に良い演技をするようになっていく。

良い演技とは何だろうか素人なりに考えてみたい。 そのためにはまず、難しい演技は何なのか考える必要がある。 それはたぶん、怒ったり、落ち込んだりする演技ではないだろうか。 明るい笑顔を作ることは簡単だ。 泣くこともそう難しくはないと思う。思い出せば泣ける記憶を持っていない人間は浅すぎる。 しかし、怒ってみろと言われて怒ることは難しい。ましてやそれを暴力で表現しないとなると、 なおさら難しくなる。落ち込むふりをすることは簡単だが、 それが本当に落ち込んで見えるかどうかは別問題だ。 絶望した表情をしろと言われたら、出来るだろうか。おそらく滑稽になってしまう。

三浦春馬をグーグルやユーチューブで調べると、なるほど底抜けに爽やかな青年が出てくる。 青年といってももう30だから、もう立派な大人なのだが、 とにかく底抜けに爽やかな印象を受ける。 春馬というのは本名らしいのだが、春のそよ風と白馬という組み合わせは、彼にとってピッタリな名前だと思う。 そしてそれが女性の心を掴んでいるわけであるが、 一方で、彼の内面とのギャップを生み、彼自身を食い殺してしまったという人もいる。

彼は本当はどういう人間だったのだろうか。俳優としての実力は本当に高かったのか。 それを自分で考えたいと思った。 そのためには彼の出演作をいくつか見る必要があると考えて、厳選して三本だけ見てみた。 星は評価。

君に届け ★★★☆☆

選択理由

風早くんの役は、三浦春馬の適役だろうし、 彼の爽やか力のマックスを知りたかった。

ストーリー

クラスの人気者の風早くん(春馬)と 貞子と呼ばれて煙たがれている黒沼爽子(多部ちゃん) がお互いに惹かれ合う超絶青春ラブストーリー(白目)

評価

風早くんの役はやはり嵌りだったが、 俳優としての能力を測るには十分な難易度がなかった。

三浦春馬は、まず顔をくしゃっとさせてから笑う。 これが女性の心を掴んでいるようだ。おれもやってみよう。

真夜中の五分前 ★★★★☆

選択理由

三浦春馬は非常に努力家だという評価がある。 この映画はセリフがすべて中国語であり、三浦春馬は映画のために 中国語を勉強したということなので、この映画を見ることでどれほどの努力家なのか知り得ると思った。 また、爽やか全開系の映画ではないため、彼が暗い表情をすることが出来るかの見極めにもなると思った。

ストーリー

中国で時計修理工をしている良(春馬)は、 プールで美女にナンパされ、妹へのプレゼント選びに付き合わされる。 一卵性双生児の姉妹は、妹ルーメイが女優として映画プロデューサーと結婚し華びやかな生活を送る中、 姉のルオランはフリーのライターとしてふつうの生活をしていた。 ある日、姉妹はモーリシャス諸島への旅行中に水難事故に遭い、片方が死ぬ。 生き残った方は果たして姉なのか妹なのか。 姉がセレブの妹になりきってるのではないか。 この一点の謎を巡って、人間関係が壊れていくという本当に怖い話。

評価

役は、中国語が完璧にはわからない日本人なので、 会話を完全には理解出来ずぽかーんとする表情をする必要があったり、 わざとたどたどしく話す必要があったりするのだが、 それが度が過ぎていて、少し白痴っぽくなっていた。 実際に中国で生活をしているわけであり留学生などではないのだから、 もっと堂々と話すものではないだろうか。 そうでないと、現地人にはなめられそうだ。

三浦春馬は顔の作り(特に鼻と横顔)きれいなので、暗い表情をした時に引き立つ。 この点は良かった。 後述するように、姉のルオランが死んだとわかったシーンでの暗い表情なども、よく伝わってきた。 ブスが怒ってもただのおたふくだが、美人が怒ると本当に怖いとはよく言われるが、 それと似たようなものだ。

ふざけた日式俳優がやってたら事故だったと思うが、三浦春馬だから演じきれたとは言えると思う。 ある程度の実力は見てとれた。

これはおすすめ。

考察「生き残ったのは姉と妹どちらなのか」

ついでなので天才のおれが考察をしておく。

この映画では、生き残ったのは姉なのか妹なのか明には描かれておらず、それは視聴者の想像に任せるという形になっている。 それ故に、映画レビューなどでも、生き残ったのはどちらかという議論が盛んに行われており、 実際に票が割れている。おれもそこに一票を投じよう。

結論をいうと、生き残ったのは妹のルーメイだ。

こういう話なのだろう。

姉と妹は教会を訪れた。姉は妹の幸せを祈ったあと、良にもらった時計と、その場に置いてあった首飾りを交換した。 この時計は、もともともらった時のように5分遅れではなく「今を生きるため」に針が直されていた。 姉はその首飾りを、船に乗る時にカナヅチの妹の首にかけた。その後、船は沈没した。

妹は良と会った時に、この首飾りを姉にかけてもらったから生き残ったが、 姉がなぜこれを持っていたかどうかは「わからない」と言ったが、これは嘘である。 妹は姉が時計と首飾りを交換するところを見ている。 ではなぜ嘘をついたのかというと、可能性は2つで、1つは姉の窃盗をかばうためだが、 ストーリーを考えるとより濃厚なのは、良をかばうためだ。 この時はまさか「良にもらった時計を捨てて首飾りをとった」などとは言えなかった。

その後、良は部屋にあるプレゼントの時計を見て、 正常な時刻を指していることに気づく(自分の5分遅れてる時計より5分進んでいるため)。 ここで、良は、仮にこの女性がルオランであったとしても、 自分と同じ時を生きてはいかないという決断をしたということになるから、 いずれにしろ二人の間の愛は死んだことを悟った。

最後のシーン。妹は姉が教会に置いてきた時計を回収し、 良の家にこっそりと置いてくるのだが、 良がその時計を見つけてルーメイを追いかける時、 12時の鐘が鳴る。 このシーンが、生き残ったのはルオランだが、 ルオランは良にお別れを言うために時計の針を直した上で戻してきた という解釈に繋がるのだが、 先に述べたように実際にはルオランは旅行の時点で針を直しており、 良とは別れることを決めていた。

良の視点から見ると、生き残ったのはルーメイだとわかりつつも、 ルオランである線を完全に消せないでいる。 しかしこのシーンによって、良の中にかすかな希望が戻ってきており、 最後のシーンで彼の中ではルオランを追いかけている。 しかし実際にはルーメイなのだ。このシーンはかなり残酷だと思った。 美女は怖い。

アイネクライネナハトムジーク ★☆☆☆☆

選択理由

最新の春馬を見たかったから。

ストーリー

男女が出会っていく話(雑)

10年後(笑)

評価

多部ちゃんの良さは光っていたが、 映画としては本当につまらなかった。 こういうしょうもない映画にしか出れないことに絶望して 自殺したのではないかとすら思った。

俳優「三浦春馬」について

三浦春馬は、最高レベルの俳優たちと比べると見劣りする。 しかしそれは、視聴率や興行収入を出すためにはある程度彼の爽やかさやイケメンを生かす方向で 役を割り当てるからであって、 結果毎回学芸会レベルになってしまい、その中で大して成長が得られないというのが原因だと思う。 しかし他の日式若手俳優と比べると実力はあるし、ポテンシャルもある。

ポテンシャルの一つは顔の造形や、身体のフレームの美しさ。わりと筋肉質でもある。 これが発揮されているのが、キンキーブーツというミュージカルだが残念だがもう見ることは出来ない。

ジャニーズに代表されるようなただ甘いだけの男というのは、年をとるとみすぼらしくなってしまうが、 三浦春馬の場合はむしろ年を重ねていくごとに色気が出ていってたように思うし、 今後役の幅を広げられるポテンシャルはあった。 それだけに残念。 今回の自殺を乗り越えられたら、もっと良い俳優になれたと思う。

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